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『サンダーボルツ*』(2025年) 公開前予習ガイド

映画『サンダーボルツ*』の公式ポスター。中央には本作の主人公となるエレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)が配され、「Careful Who You Assemble(誰とチームを組むか注意せよ)」という挑発的なコピーが添えられている。このビジュアルからも、寄せ集めのチーム内で疑心暗鬼や裏切りが鍵となる物語であることが示唆されている。

【この記事でわかること】

ポイント

  1. 公開情報 – 『サンダーボルツ*』は2025年5月2日公開。MCUフェーズ5のラストを飾る重要作。
  2. チームの魅力 – エレーナ&バッキーらアウトロー6人がヴァレンティナに操られながら極秘任務へ。
  3. 必修予習5本 – 『ブラック・ウィドウ』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』など厳選タイトルで背景を押さえる
  4. “観たくなる”仕掛け – セントリー登場示唆、タイトルの「*」の謎、キャスト自ら挑んだ高所スタント。
  5. MCU今後への伏線 – 本作の結末が2026年公開予定の新アベンジャーズ映画へ直結。

作品基本情報 (公開日・位置づけ・制作陣・キャストなど)

公開日とMCUでの位置づけ: 『サンダーボルツ*』は2025年5月2日に日米同時公開されました。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)ではフェーズ5の掉尾を飾る作品となり、通算では34本目の長編映画にあたります。本作の公開後、MCUは次のフェーズ(フェーズ6)に突入し、2026年公開予定のアベンジャーズ映画(仮題:Avengers: Doomsday)へと物語が繋がっていくとみられています。

スタッフ: 監督はジェイク・シュレイアー(代表作『ロボット&フランク』)で、脚本はエリック・ピアソンとジョアナ・カロのコンビが執筆しています(※当初脚本を手がけたピアソンに加え、『Beef/ビーフ』のクリエイターである李●振(イ・ソンジン)もリライトに参加したと報じられましたが、最終クレジットにはカロが名を連ねています)。製作はケビン・ファイギ率いるマーベル・スタジオが担当します。

主要キャスト: かつてのヒーローやヴィランから成る異色チームを率いるのは、エレーナ・ベロワ/ブラック・ウィドウ(フローレンス・ピュー)。共にチームを組むのは、バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー(セバスチャン・スタン)アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)ジョン・ウォーカー/USエージェント(ワイアット・ラッセル)アヴァ・スター/ゴースト(ハンナ・ジョン=カメン)、そしてタスクマスター(オルガ・キュリレンコ)という顔ぶれです。彼らを陰で糾合した黒幕的存在としてヴァレンティナ・アレグラ・デ・フォンテーヌCIA長官(ジュリア・ルイ=ドレイファス)も登場します。さらに本作には新キャラクターとして、チームに巻き込まれる一般人“ボブ”役でルイス・プルマン、ヴァレンティナの部下“メル”役でジェラルディン・ヴィスワナサンが出演し、豪華かつ異色な ensemble(アンサンブル)が実現しています。

ストーリー概要: マーベル公式によれば、本作は「様々な過去を背負ったアンチヒーローたちが、ヴァレンティナによって仕掛けられた罠(デス・トラップ)に陥り、やむなくチームを組んで危険なミッションに挑む」物語です。各キャラクターはそれぞれ暗い背景や因縁を持つ「はみ出し者」同士であり、生き延びるために協力せざるを得ない状況に追い込まれます。チーム名「サンダーボルツ(Thunderbolts)」には現在タイトルに“*”(アスタリスク)が付されており、その意味についてマーベル社は「実際に映画を観れば明らかになる」と示唆しています。公式SNSでも「このアスタリスクの意味は何か?映画で確かめてほしい」と煽りが入るなど、物語上でタイトルの意味が明かされる仕掛けがあるようです。

最新プロモーション情報: 2024年4月のCinemaConでは、本作の未公開フッテージ(映像)が初披露されました。映像内ではバッキーとレッド・ガーディアンが車中で掛け合うコミカルなシーンなど、チームの凸凹なやり取りが描かれています。例えば、互いのスーツについて「俺たちは同じだ。同じ…でも違うな」と冗談まじりに語り合う場面があり、観客から笑いが起きました。一方で映像後半には不穏な展開も用意されており、チームが乗り込んだアベンジャーズ・タワーの最上階でヴァレンティナ長官が待ち受け、「実はお前たちを潰し合わせるつもりだった」と衝撃の発言をするシーンも報じられています。さらに彼女の背後には謎の人物が浮遊しており、コミックスでお馴染みの超強力キャラクター「センチュリー(セントリー)」が登場することが示唆されました。このCinemaCon映像について出演者のデヴィッド・ハーバー(レッド・ガーディアン役)は「笑いあり裏切り(ダブルクロス)ありで最高だ!」と語っており、ユーモアとスリルに富んだ作品になることが伺えます。

魅力ポイント解説

  • 豪華キャストの化学反応と因縁: マーベル屈指の個性派キャラたちがチームを組む本作では、過去作から続く因縁やドラマが随所に盛り込まれています。例えばバッキーとジョン・ウォーカーは『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で激しく対立しましたが、今作では嫌々ながらも協力関係に入ることで二人の関係性に変化が生まれそうです。またレッド・ガーディアンは「自分こそキャプテン・アメリカと戦った男だ」と豪語するロシアの老兵ですが、かつてヒドラの暗殺者だったバッキーとの間でプライドを賭けた張り合いを見せる可能性もあり、キャラ同士のケミストリーから目が離せません。
  • サプライズ登場キャラクターの存在: 最大の注目ポイントは、コミックファンにお馴染みの超人的キャラクター「セントリー」の映画初登場が示唆されていることです。セントリー(本名:ロバート“ボブ”・レイノルズ)はスーパーマン級の力を持つ複雑なヒーローで、原作コミックではダークアベンジャーズにも関わった人物。本作にはルイス・プルマン演じる「ボブ」という謎の一般人キャラが登場するとだけ公表されていますが、CinemaCon映像での浮遊する人物像や関連玩具のリーク情報から、このボブ=セントリーである可能性が非常に高いと言われています。もし彼が登場すれば、サンダーボルツのメンバーでは太刀打ちできない最強クラスの存在となり、物語に大きな波乱を起こすはずです。原作でも予測不能な言動でチームに絡んできたセントリーだけに、映画でどのように描かれるのか期待が高まります。
  • 原作コミックの人気ストーリー再現と変更点: 原作『サンダーボルツ』といえば「正体を隠したヴィランがヒーローに成りすましてチームを組む」という衝撃の展開で知られます。しかしMCU版では正体を偽る要素は薄く、むしろ政府に集められたアウトロー達のダーティな特殊部隊的色彩が強いようです。これはコミック後期のサンダーボルツ(ノーマン・オズボーンやサディアス・ロス将軍によるブラックオプス運用)に近い設定で、原作ファンも新鮮な気持ちで楽しめるでしょう。一方で原作ファン大歓喜の要素も用意されています。ジュリア・ルイ=ドレイファス演じるヴァレンティナ長官は「本作で彼女のこれまでの企みが全て明らかになる」と語っており、原作で彼女(マダム・ヒドラ)にまつわるエピソードや黒幕的立ち位置がどこまで映画に反映されるか注目です。また、各キャラのコスチュームやコードネームにもコミックへのリスペクトが垣間見えます。予告映像ではレッド・ガーディアンがソ連版キャプテン・アメリカらしいレッドスターの盾を携えて戦う姿が確認されており、ファン心をくすぐります。細部の再現と大胆なアレンジ、その両方が楽しめる仕上がりになりそうです。
  • クロスオーバーとMCU全体への影響: 『サンダーボルツ*』は単独チーム映画でありながら、MCU全体の今後を左右するキー作品とも言われます。ヴァレンティナ長官がこれまで各作品(『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ブラック・ウィドウ』『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』)で極秘に集めてきた戦力が遂に動き出す本作は、一種の「アベンジャーズの裏チーム結成」とも位置付けられます。そしてフェーズ5最終作であることから、この物語の結末が次のアベンジャーズ映画につながる可能性が高いです。実際、米国のイベントでは「Thunderboltsの何人かは2026年のAvengers: Doomsdayにも登場予定」と示唆されてもいます。つまり本作でのチームの成否が、“アベンジャーズ不在の世界”における地球の命運に影響するかもしれません。誰が生き残り、誰が裏切り、彼らはアベンジャーズに取って代わる存在となるのか——ファンの議論も白熱しており、本作が今後のMCUに重大な伏線を残すことは間違いないでしょう。
  • ド派手アクション&スタント: もちろんMCU映画ならではのアクションも大きな魅力です。本作では特に生身のスタントシーンに力が入っており、エレーナ役のフローレンス・ピュー自らが世界で2番目に高いビル(マレーシア・メリデカ118、標高679m)からの飛び降りスタントに挑戦しています。ピューは「どうしても自分で飛び降りたくて、ケヴィン・ファイギに直訴メールを送りまくったわ!自分でも正気じゃないと思うけど(笑)、実際やれて本当に良かった」と語っており、その映像は本作最大の見せ場の一つになりそうです。また、レッドカーペット・イベントで披露された映像によれば、チームが市街地で車ごとビルに突っ込み各キャラの戦闘スタイルで暴れ回るシーンや、地下金庫での激しい乱闘シーンなどもあるとのこと。特殊能力よりも肉弾戦主体のキャラクターが多い分、体を張ったアクションの迫力と緊張感はシリーズ随一と言えるでしょう。「ダークでありながらコメディ要素もあるスパイ・アクション大作」との触れ込みどおり、笑いとドキドキが同居するアクションシーンの連続に期待が高まります。

予習すべきMCU作品5選 (必見エピソードと理由)

サンダーボルツのメンバーや背景を把握する上で、以下の5作品(※Disney+で配信中)を事前に復習しておくと理解が深まります。

  1. 『ブラック・ウィドウ』(2021年公開) エレーナとレッド・ガーディアンの背景を理解するため。エレーナ・ベロワの初登場作品であり、彼女がソ連のスパイ養成機関“レッドルーム”で育った過去や、義理の父アレクセイ(レッド・ガーディアン)との関係が描かれます。また、この映画で倒されたタスクマスター(アントニア・ドレイコフ)は洗脳が解かれて生存しており、本作でチームメンバーに加わる経緯が予想されます。エンドクレジットにはヴァレンティナ長官がエレーナを勧誘するシーンもあり、本作への直接的な伏線になっています。
  2. 『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(2021年配信のDisney+シリーズ)バッキーとジョン・ウォーカーの現在地を知るため。このシリーズでは元冬の兵士バッキー・バーンズの贖罪の旅と、もう一人のキャプテン・アメリカ=ジョン・ウォーカーの誕生と失墜が描かれます。バッキーはこの物語で心の闇を克服し、過去と決別。一方、ジョン・ウォーカーは暴走の末にキャプテンの座を追われ、“USエージェント”としてヴァレンティナにスカウトされます。本作ではこの二人が再会しチームメイトとなるため、両者の確執と成長を追っておくことは必須です。ヴァレンティナが裏で暗躍し始めたのも本シリーズからなので、彼女の目的を探る手がかりとしても要チェックです。
  3. 『アントマン&ワスプ』(2018年公開) ゴーストの能力と境遇を理解するため。ゴーストことアヴァ・スターが登場した作品です。幼少期の事故で量子位相不安定(身体が幽霊のようにすり抜ける体質)となった彼女は、生き延びるためシールドに利用され苦しんでいました。本作の終盤で一応の治療は得られたものの完全には安定せず、彼女は現在も「普通の生活」を求めて潜伏中とされています。『サンダーボルツ*』ではそんなゴーストが表舞台に引き戻される展開となるため、彼女のフェーズや透明化能力のビジュアル、そして不安定な精神状態を事前に把握しておくと良いでしょう。
  4. 『ホークアイ』(2021年配信のDisney+シリーズ)エレーナの心情とヴァレンティナの企みを知るため。『ブラック・ウィドウ』後のエレーナが再登場する作品です。彼女はヴァレンティナからの指令で「姉ナターシャの仇」としてホークアイ(クリント・バートン)を狙いますが、最終的に誤解が解けて復讐を思い留まります。このエピソードでエレーナはナターシャの死と向き合い、深い喪失感を抱えた状態となりました。実際『サンダーボルツ*』冒頭でエレーナは鬱屈した様子を見せると報じられており、彼女の心理を理解する上で『ホークアイ』の出来事は欠かせません。また、ヴァレンティナが流した偽情報によってエレーナがクリントを憎んでいたことも判明するため、ヴァレンティナの狡猾さも垣間見えるでしょう。
  5. 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022年公開)ヴァレンティナ長官の立ち位置を把握するため。意外に思われるかもしれませんが、本作にはヴァレンティナ(通称“ヴァル”)が重要な脇役として登場します。彼女は劇中でCIA長官の地位に就任しており、アメリカ政府の立場からワカンダのヴァイブレニウム資源を狙う黒幕的存在でした。また自身の元夫であるエヴェレット・ロスを陥れる冷酷さも見せています。『サンダーボルツ*』の時点でヴァルはCIA長官として強大な権限を持っており、国家ぐるみでThunderbolts計画を進めていることが示唆されます。彼女の目的や手段の徹底ぶりを知るためにも、最新の出演作である本作を振り返っておく価値があります。

(補足:上記の他にも、バッキーの長い洗脳史を描いた『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』や、バロン・ジモの暗躍が光る『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』なども関連は深いですが、読者の皆さんは既にご存知でしょう。本ガイドでは割愛します。)

深掘りにおすすめのMCU作品/シリーズ

時間に余裕があれば、以下の作品も観ておくとキャラクター同士の関係性や時系列上の背景理解に役立ちます。

  • 『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』(2014年) … バッキーが洗脳されヴィランとなった過去を描く作品。彼の長年の苦しみとスティーブとの絆を知ることで、本作でのバッキーの葛藤により共感できるでしょう。
  • 『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年) … アベンジャーズ内紛を描いた作品。この事件後にナターシャは逃亡生活に入り、その間の物語が『ブラック・ウィドウ』でした。またバロン・ジモが初登場し、「ヒーロー不信」を煽った張本人でもあります。ジモはサンダーボルツ原作の創設者ですが映画には未登場のため、逆に彼の不在がチームに何をもたらすか考察してみるのも一興です。
  • 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年) … MCUフェーズ3の大団円。ナターシャ・ロマノフの崇高な自己犠牲によって全宇宙が救われました。彼女の死はエレーナの人生を大きく変えています。またエンドゲーム後、主要アベンジャーズが次々と引退・死去したことで地球にパワーバキューム(力の空白)が生じ、その隙を埋める存在としてサンダーボルツが台頭したとも言えます。本編を前に改めてナターシャの遺産と現在のヒーロー情勢を振り返っておきましょう。
  • 『インクレディブル・ハルク』(2008年) … サンダーボルツの名の由来となったサディアス・“サンダーボルト”・ロス将軍(演:ウィリアム・ハート)の初登場作品です。ロス将軍はハルク対策の執念からアボミネーションを生み出すなど強硬手段で知られ、後に国務長官としてソコヴィア協定を推進しました。現在このロス将軍はMCU劇中で健在かつ出世しており(※演者はハリソン・フォードに交代)、『キャプテン・アメリカ/ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025年公開予定)では合衆国大統領に就任すると報じられています。ロス将軍自身は『サンダーボルツ*』本編に登場しない可能性が高いものの、彼の存在がチーム名に影を落としている点で知っておいて損はありません。
  • 『ブラック・ウィドウ:エンドクレジット (未公開シーン)』 … こちらは番外ですが、『ブラック・ウィドウ』のDVD/Blu-ray収録の未公開ポストクレジットシーンでは、エレーナがナターシャのお墓を訪れる場面でロス将軍と対峙する描写がありました(劇場公開版ではカット)。公式には採用されていないものの、もしこの設定が生きていればロス将軍がエレーナ確保を図っていた可能性も示唆されます。本作タイトルに「Thunderbolts(ロスの愛称)」の名が付くことと併せ、ロス将軍の動向にはファンからも注目が集まっています。

MCU時系列 vs 公開順の視聴ガイド

サンダーボルツ関連作の復習には、時系列順に見る方法公開順に見る方法があります。お好みのコースで予習を進めましょう。

  • 🔄 時系列おさらいコース: 物語の時間軸に沿って作品を追体験する方法です。まずチーム最年長組の過去を描いた『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』(1940s〜現代)でバッキーの洗脳史を確認。その後、ナターシャとエレーナの絆を深掘りする『ブラック・ウィドウ』(2016年の出来事)へ進みます。次に2018年時点のゴーストを描く『アントマン&ワスプ』を挟み、エレーナが灰となり再び戻る(※彼女は指パッチンで消滅)2023年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、物語が本格的に動き出す2024年の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』と『ホークアイ』へ。【2024年時点でエレーナ・ジョン・バッキーら主要人物が一堂に会するのが『サンダーボルツ*』です。】この順番なら各キャラの歩みを時系列で把握でき、ストーリーの因果関係も頭に入りやすくなるでしょう。
  • 🎬 公開順じっくりコース: 公開された順番で視聴し、物語のミステリーや驚きを当時のファンと同じ順序で体験する方法です。まず2018年公開の『アントマン&ワスプ』でゴーストという異色のヴィランに出会います。次に2021年春配信の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でバッキーとジョンのドラマを楽しみ、続いて同年夏公開の『ブラック・ウィドウ』でエレーナを初めて知るという流れです(本来エレーナの登場は公開上こちらが後でした)。その後、2021年年末配信の『ホークアイ』でエレーナとクリントの対決を見ることで、彼女の立場への理解が深まります。最後に2022年公開の『ワカンダ・フォーエバー』でヴァルの暗躍を押さえておけば完璧です。公開順で追う利点は、作品間のサプライズやクロスオーバー要素を制作側の意図した順で味わえることです。例えばヴァルの怪しい勧誘シーンを半年間考察しながら過ごし、次の作品で「あの時の女がまた出てきた!」と驚く――そんな体験ができるのは公開順コースならではです。

どちらのコースでも、鑑賞後には『サンダーボルツ*』本編への理解と期待が一層高まるはずです。時間やお好みに合わせて予習計画を立ててみてください。

原作コミックとの5大違い (ライトにチェック)

MCU版『サンダーボルツ*』と原作コミック版を比較すると、コミック読者なら思わず驚くポイントがいくつもあります。【※以下はあくまで設定上の違いであり、映画独自の展開を楽しむための豆知識です。】

  1. チーム結成の経緯: 原作初代サンダーボルツはバロン・ジモが正体を隠してヒーローになりすまし結成したチームでした。しかし映画版ではヴァレンティナ長官が政府の承認のもと寄せ集めたチームとなっており、結成の動機が大きく異なります。ジモは登場せず(少なくとも主要メンバーではなく)、代わりにヴァルが黒幕的位置づけです。この違いにより、原作のような「正体暴露の大どんでん返し」はなさそうです。
  2. メンバー構成: 映画のサンダーボルツには原作初期メンバーが一人も含まれていません。コミックス版オリジナルメンバーだった市民V(=ジモ)やソングバード、アトラスといったキャラは不在で、MCU版は既存の映画キャラ中心のラインナップです。ただしMCU版メンバーの多くはコミックの別時期のサンダーボルツには何らかの形で関与歴があります(例:ゴーストはノーマン・オズボーン統括時代のサンダーボルツ隊員、ウィンターソルジャーは後年チームを指揮)。いわば複数の時代の“いいとこ取り”混成チームと言えます。このオリジナルな顔ぶれは映画版ならではの新鮮さを生んでいます。
  3. チームの目的と立ち位置: 原作では当初「表向きヒーロー、裏ではヴィランの隠れ蓑」として活動しましたが、映画版では政府公認の裏働きチーム(ダークヒーロー部隊)という位置づけです。アベンジャーズが不在の世界で代替戦力として期待されつつ、実態はヴァルの私的な思惑で動かされている点が特徴です。コミックでもサンダーボルツは時期によっては政府管理下に置かれたり(例:サディアス・ロス将軍版Thunderbolts)、社会奉仕的なチームに転身したりしますが、MCU版は当初からダークな政府直属チームとして描かれる点がオリジナルと言えます。
  4. 各キャラクターの設定変更: MCUでは各キャラの設定がコミックから大きく変更されています。例えばタスクマスターは原作ではトニー・マスターズという男性傭兵ですが、映画版ではドレイコフの娘アントニアという女性で、洗脳から解放された元暗殺者です。このため原作の軽口な人格描写はなく寡黙なキャラになっています。またゴーストも原作では男性ヴィラン(Iron Manの敵)だったのが、映画では女性に変更され苦悩するアンチヒーロー寄りの描写になりました。ヴァレンティナ長官自身も、コミックではニック・フューリーの同僚のシールドエージェントでしたが、MCUではCIA長官かつ裏で暗躍する黒幕キャラに再構築されています。こうしたキャラクター像のアレンジは映画版独自のサプライズと言えるでしょう。
  5. 「サンダーボルツ」の名前の意味: コミックでチーム名“Thunderbolts”は単に稲妻のように衝撃を与える存在というニュアンスでした(一説には「雷神トール亡き後に現れた代わりの雷」とも)。一方MCUでは“サンダーボルト”の異名を持つロス将軍との関係を匂わせる名前になっています。映画タイトルに付いた「*(アスタリスク)」も含め、チーム名に隠された意味が物語の鍵となる点は映画オリジナルです。実際、ケヴィン・ファイギ氏はタイトルに注記が付いた理由について「公開後に明らかになる」と語っており、原作ファンも初見のネーミングの秘密が用意されているようです。

まとめ

主要キャラクターの来歴とMCUでの積み重ねを予習することで、『サンダーボルツ*』を何倍も楽しめることがお分かりいただけたでしょう。本作は単なるヴィラン寄せ集め映画ではなく、フェーズ全体の集大成として重要なエピソードとなりそうです。特にエレーナとバッキーの物語を追っておくことは必須と言えます。最低限『ブラック・ウィドウ』と『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の2作品だけでも復習しておけば、チーム結成の背景は押さえられるでしょう。幸いこれらは全てDisney+で配信中ですので、劇場に足を運ぶ前にぜひチェックしてみてください。時間が許せば他の関連作やコミック知識にも触れ、本作への期待を高めていきましょう。

さぁ、万全の予習が整ったらいよいよ劇場で『サンダーボルツ*』本編を体感するのみです。その先に待つMCU新章への伏線も見逃さないよう、大スクリーンで存分に楽しんできてください!


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参考文献・ソース一覧

[1] Marvel公式サイト: “Thunderbolts (2025) – Cast, Release Date, Characters” – 映画『サンダーボルツ*』作品ページ(基本情報とあらすじ)

[2] Marvel公式サイト: 「Meet the ‘Thunderbolts*’: Go Behind the Scenes of Marvel Studios’ Action Epic”** (2025年5月2日) – キャストインタビュー記事(ピューやラッセルのコメント、キャラクター紹介)

[3] Gizmodo: “Thunderbolts Brought the Action to Disney’s CinemaCon Presentation” (2025年4月4日) – CinemaCon 2024で公開された映像詳細レポート

[4] GamesRadar+: “Marvel’s Thunderbolts CinemaCon footage may have just confirmed a long-running Reddit theory” (2025年4月5日, Nick Staniforth) – CinemaCon映像から判明した展開とファン理論の解説

[5] Rotten Tomatoes: “Your Full List of All Upcoming Marvel Movies – With Key Details!” (2025年更新) – MCU新作情報まとめ。『Thunderbolts*』の項でフェーズ移行やSDCC情報に言及

[6] Entertainment Weekly: “Julia Louis-Dreyfus says Thunderbolts* finally reveals Val’s plan”** (2024年11月, デジタル版) – ジュリア・ルイ=ドレイファスへのインタビュー記事。ヴァルの企みやキャラクター性について

[7] Republic World: “Thunderbolts: ...Closing Chapter in the Phase 5 of the MCU” (2025年4月27日) – インド向けメディアによる映画解説記事。フェーズ5最後の作品である点やインド公開情報

[8] GamesRadar+: “The MCU Thunderbolts – what DNA it shares with the comic books and what’s missing” (2022年9月10日) – D23 Expoでの発表を受けた原作との比較分析記事

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